コーヒーの味は、
実は「豆」よりも「挽き目」で大きく変わります。
同じ豆でも――
挽き目を変えるだけで、味は別物になります。
なぜか?
それは 抽出スピードが変わるから です。
■ なぜ挽き目で味が変わるのか?

コーヒー抽出とは、
お湯が粉の中を通りながら、成分を溶かし出すこと。
ここで重要なのは 接触時間と表面積 です。
✔ 細かい挽き目
表面積が増える
成分が溶けやすい
抽出が進みやすい
→ 濃くなる
→ 苦味・渋みが出やすい
→ 重たい印象
✔ 粗い挽き目
表面積が少ない
成分が溶けにくい
抽出が進みにくい
→ 軽くなる
→ 酸味が立ちやすい
→ さっぱりした印象
■ 抽出は「順番」に起こる

ここが本質です。
コーヒー成分は一気に出るわけではありません。
抽出の順番はこうです:
- 酸味
- 甘味
- コク
- 苦味
- 渋み・雑味
つまり――
挽き目が細かすぎると、最後まで出てしまう。
これを
👉「過抽出(over extraction)」と言います。
逆に粗すぎると、
👉「未抽出(under extraction)」
になります。
■ 挽き目の違いで何%も味は変わる

抽出率(Extraction Yield)で見ると、
- 18〜22% → バランス良い
- 17%以下 → 酸っぱく薄い
- 23%以上 → 苦く重たい
挽き目が0.1mm違うだけで、
抽出率は1〜2%動くこともあります。
これは味の印象がガラッと変わるレベルです。
多くの人は、
「味が薄い → 粉を増やす」
と考えます。
でも実際は、
挽き目を1段階細かくする方が効果的なことが多い。
粉量よりも、
まずは挽き目。
プロはまずここを触ります。
■ 挽き目と抽出時間はセット

多くの人が誤解しています。
「抽出時間を伸ばしたいから、ゆっくり注ぐ」
「味が薄いから、蒸らしを長くする」
でも本質はそこではありません。
抽出時間を決めているのは、ほぼ挽き目です。
なぜセットなのか?
ドリップを例にすると――
お湯は粉の層を通過して落ちていきます。
その通り道の“抵抗”を作っているのが挽き目。
細かい挽き目
粒子同士の隙間が小さい
水が通りにくい
流速が遅くなる
接触時間が長くなる
→ 抽出時間が伸びる
→ 抽出率が上がる
粗い挽き目
粒子の隙間が大きい
水が通りやすい
流速が速くなる
接触時間が短くなる
→ 抽出時間が短くなる
→ 抽出率が下がる
実は「秒数」よりも重要なこと
例えば、
同じ2分30秒でも――
細挽きで詰まって2分30秒
中挽きで自然に落ちて2分30秒
これはまったく別物です。
なぜなら、
流速と圧力分布が違うから。
詰まり気味の抽出は、
一部に水が集中しやすく(チャンネリング)、
局所的な過抽出を起こします。
つまり、
👉 同じ時間でも、挽き目が違えば味は変わる。
抽出時間は「結果」である
重要なのはここ。
抽出時間は“操作するもの”ではなく、
挽き目の結果として現れる数字です。
プロの現場ではこう考えます:
目標の味を決める
挽き目を調整する
出てきた時間を確認する
時間は“答え合わせ”です。
エスプレッソで考えるとわかりやすい
エスプレッソでは、
・細かすぎる → 30秒以上かかる → 苦く重たい
・粗すぎる → 15秒で出る → 酸っぱく薄い
1メモリ動かすだけで、
味は劇的に変わります。
ドリップも同じ原理です。
さらに一歩深く:粒度分布の話
挽き目は単純な「細かい・粗い」だけではありません。
グラインダーによって、
均一に揃う
微粉が多い
粒のばらつきが大きい
といった違いがあります。
微粉が多いと、
流速が遅くなる
一部が過抽出になる
渋みが出やすい
つまり、
挽き目 × 粒度の均一性 × 抽出時間
この3つがセットで味を作っています。
結論
抽出時間を変えたいなら、
注ぎ方よりも
湯温よりも
まず挽き目。
挽き目を制する人だけが、
抽出時間をコントロールできます。
そして――
抽出時間をコントロールできる人だけが、
味を安定させられます。
■ 器具ごとの目安

ペーパードリップ → 中挽き
フレンチプレス → 粗挽き
エスプレッソ → 極細挽き
器具は「適正な流速」が決まっています。
流れが速すぎると未抽出。
遅すぎると過抽出。
だから挽き目が重要なのです。
■ 結論

挽き目で味は――
ほぼ別物レベルまで変わります。
コーヒーが安定しない人ほど、
実は挽き目が原因であることが多い。
温度よりも
蒸らしよりも
まずは挽き目。
ここが整うと、味は一気に安定します。

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